転回コードについて質問をいただきましたがメールが上手く送信できなかったため、こちらで回答してみます。
とても良い質問でしたので、これをきっかけに質問者様をはじめ、本サイト、本記事を読んでいる人の
「作曲にこだわりを持つ」
「作曲の中で細かいところまで気を使う」
といったヒントになれば幸いです。
それでは質問とその回答、いってみましょう!
Question
こんにちは。
アメージンググレース(コードは既に記載されています)のコードをピアノで弾いてみたいのですが、コードトーンの選び方?(基本コードを使うのか、転回コードを使うのか)が良く分からないので、もしも、宜しければ、アドバイスが頂けると助かります。
例えば、
C → Am → F → C
とコード進行して行きますが、
最初のCは、ドミソ → ドミラ → ドファラ → ドミソと設定して、そのまま近い構成音と重視して、進ませて行くべきなのか、もしくは、最初のCは、ソドミ → ラドミ → ラドファ → ソドミと設定して、そのまま近い構成音と重視して、進ませて行くべきなのでしょうか。
実際に弾いてみても、ちょっと響きが違うなぁ、くらいで どちらが正しいのか、はっきり分からないです。
記事を拝見させて頂たいのですが、理解できず、お伺いさせて頂きました。
宜しくお願い致します。
Answer
こんにちは、ご質問ありがとうございます。
コードを転回するかどうかは考え始めるとなかなか悩ましいところですよね。
いくつか判断すべきポイントがありますが、マッチしている響きを見つけやすいポイント2つに絞って回答します。
恐らく質問の回答をしているのは2つ目のポイントですが、1つ目のポイントは見落とすとコード自体が変わってしまうので事前に押さえさせてください。
1.ベース音はコードのルート音になっているか?
アメージンググレースをピアノで弾いたと伺っていますが、仮に
・右手でメロディー
・左手でコード(伴奏)
といった構成を取っていた場合、C → Am → F → C のコードを左手のみで
ドミソ → ドミラ → ドファラ → ドミソ
と演奏した場合、正確にはコードの表記は
C → Am on C → F on C → C
とオンコードとなります。
この場合、オンコードを含むため、本来のコード進行とは異なってしまいます。
そのため、
ドミソ → ラドミ → ファラド → ドミソ
とベース音はルートにするのが良いと言えます。
(※ソドミ → ラドミ → ラドファ → ソドミも同様ですね)
2.より滑らかにコードを進行させるのは?
「1.ベース音はコードのルート音になっているか?」
ではルート音が決まると左手で押さえられる範囲、パターンが決まりました。
しかし、
・メロディーはボーカル
・伴奏はピアノ(右手、左手ともに使用可能)
となった場合は考慮する幅が広がります。
シンプルに左手はルート音を
ド → ラ → ファ → ド
と進行するなら右手は、質問者様が仰るように
ドミソ → ドミラ → ドファラ → ドミソ
ソドミ → ラドミ → ラドファ → ソドミ
でもコード進行通りとなりますね。
さて、ここが本来の質問の主旨であったかもしれませんが
どちらが良いのか?
ここを考えて行きましょう。
両方ともコードの構成音で滑らかに繋いでいますが、
どちらがより滑らかになるかという点では後者の
ソドミ → ラドミ → ラドファ → ソドミ
になります。
その理由は2つ
①最高音の動きが少ない
最高音はベース音の次くらいに着目しておきたい音になります。
前者に着目すると ソ → ラ → ラ → ソ
後者に着目すると ミ → ミ → ファ → ミ
となっており、後者の方が動きが少ないので滑らかさがあります。
②コードの変わり目の主張が後者の方が弱い
やはりこちらでも最高音に着目してみます。
前者で着目したいのは Am の構成音 ドミラ
後者で着目したいのは F の構成音 ラドファ
なぜ着目したかと言うとルート音が最高音に来ているからです。
ベースはルート音になっていますので最高音もルート音になるとルート音でサンドする形になりますね。
こうするとコードの主張が強めになります。
そして前者は Am というトニックを主張しているのに対して後者はサブドミナントを主張しているので後者の方が滑らかさが出ると言う仕組みです。
と、ここまで滑らかさというところを重視しましたが、これは題材の曲が「アメージンググレイス」なのでそこを重視しました。
偶然にも「アメージンググレイス」はちょっとジャンル分けが難しい曲なのでアレンジ次第では重視する考えが異なる場合もあります。
さらに、メロディーとの兼ね合いも考えてコードの構成は考えたりもするのですが、今回はコード単体の世界に絞ってみました。
質問者様の仰る通り「ちょっと響きが違うなぁ」というところですが、このちょっと違うのをどう考えていくかで最終的な完成品も違ってくるのが面白くもあり、奥深いところですね。
長くなってしまった上に最後に悩ますようなことを言ってしまったかもしれませんが以上となります。
お役に立てましたら幸いです。
また何かありましたらお気軽にお問い合わせください。